■大野たつや
1.知事の政治姿勢
県民の会の大野辰哉でございます。M田知事が就任されて初めての県議会、質問戦初日に、諸先輩、同僚議員沢山おられる中、質問させていただく機会を与えていただき大変光栄に思います。
議長のお許しをいただきましたので、大変せん越ではございますが、少しの間お時間をいただきまして、知事はじめ、執行部の皆様に質問をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
あらためまして、M田せいじ知事におかれましては、この度の高知県知事選挙において、17万票を超える多くの県民の皆様からの支持を得て見事当選され、公選知事としては8人目、官選を含めると50人目、第62代の高知県知事、本県のリーダーとして、これから4年間の高知県のかじ取り役という大役を担うこととなられました。
まずもって心よりお祝いを申しあげます。本当におめでとうございました。
県政運営において、知事と県議会は、健全な緊張感を保ちながらも、お互いに県民の声を代弁する二元代表として切磋琢磨し合い、県民の幸せの実現に向け仕事を遂行する、よく例えにありますが車の両輪のような関係でなくてはならないと私も思っております。
私自身はまだまだ大変微力ではありますが、M田新県政においてもこれまで同様、全ては高知県民のため、常に地域住民の目線で考え、良いものは良い、悪いものは悪いという、是々非々の姿勢で、あったか県政めざして、しっかりと議論をさせていただきながら、ともに汗をかかせていただきたいと思っております。
あらためまして、県民の皆様をはじめ、M田知事、執行部の皆様、同僚議員の皆様、どうかよろしくお願いいたします。
まず、はじめに知事の政治姿勢についてお伺いしたいと思います。
知事は、ふるさと高知県を離れ東京大学に進学し同大学を卒業後、旧自治省に入省され、総務省、消防庁、内閣府といった中央省庁での活躍のみならず、大阪府副知事や島根県庁、福岡県庁など地方の現場でも仕事をされてこられるなど、34年間の長期にわたって地方自治の中枢で勤務されてこられました。
そしてこの夏に総務省を退職され、総務官僚から政治家、高知県知事として新たなステージに立たれた訳でございますが、これまで、東京霞が関から見ていた高知県は知事の目にどのように映っておられたのかお伺いしたいと思います。
尾ア前知事は、初出馬の時には当時の民主党も含め、自民党、公明党、社民党といった各政党をはじめ、各種団体などからも幅広い推薦、支援を受け初当選され、当選後も「対話と実行」を通じて多くの県民の皆様の声に耳を傾けるなど、幅広い、県民全体のリーダーとして職務を果たされてまいりました。そんな前知事の姿に多くの県民が信頼をよせ、以降2回の選挙は無投票、3期12年間にわたってオール高知とも言える安定的な県政運営の上にたって、様々な政策を実現、具現化させてまいりました。
その結果として、停滞していた本県において各種の経済指標などが上昇するなど、様々な成果をあげてこられたのはご承知のとおりであります。
無投票が必ずしも良いというものではありませんが、県民の不毛な対立を生まない尾ア前知事の県政運営やスタンスに私自身は大変共感をしていましたし、多くの県民もそうした前知事の姿勢を支持してこられたのではなかったかと思います。
その尾ア前知事が、8月突如、自民党からの国政鞍替え出馬を目指すとして、知事選不出馬を表明されました。その後継者として、M田せいじ現知事が指名され、本県政界は激震、風雲急を告げることとなりました。
県民から8割を超える支持を得ていた尾ア前知事の不出馬、国政挑戦の表明により、無風状態から一転、急転直下の短期決戦となり、マスコミも連日のように取り上げるなど、県民からも大きな注目を集めることとなった今回の知事選挙ですが、12年振りに県民がおらんくの知事を決める、県政のリーダーを選ぶことのできる貴重な機会でありながら、最終的な投票率は50%を切り、選挙戦はさながら国政選挙のようでした。
令和おじさんと呼ばれ人気の菅官房長官をはじめ、各政党の党首など、国政のいわゆる大物と言われる国会議員も多く来高され、県内各地で行われた応援演説では、候補者の高知県に対する思いや政策、人となりより、国政与野党間の激しい批判合戦が主となり、高知県の未来へのビジョンや政策論争が薄れた感もありました。
立候補されたお二人の候補者ともが素晴らしい候補者だっただけに、私自身は少し残念な思いがしましたし、県民の間にも少なからず混乱や戸惑いもあったのではないかと思います。
国政与野党の対立を知事選、県政に持ち込み、県民を分断へと転換させた要因のひとつには、尾ア前知事の次の目標である衆議院議員選挙出馬への思いや戦略が働いたこともあるのかも知れませんが、M田知事本人の選挙に臨む体制において、これまでの尾ア前知事のような幅広い政党や団体の支援体制は取られずに、自民党、公明党の国政与党のみに寄りそった姿勢や国政野党に対するスタンス、距離間にも原因の一端があったのではないかと思います。
私自身はマスコミ報道でしかそのことを存じあげませんが、当初は国政与野党問わず各政党に対しても推薦を申し入れるなど、尾ア前知事と同じ体制での出馬を検討されていたとも言われていますが、結果として国政与党のみの推薦支援体制をとられました。
そうした体制となった真意と経緯も含め、今後県政運営を担っていく上において、各政党、県議会の各会派とはどのようなスタンス、距離感をもって県政運営に当たられるおつもりか、知事の各政党、県議会の各会派に対する基本姿勢についてお伺いしたいと思います。
人口減少や過疎化が全国に先駆けて進んでいる本県にとって、そうした課題の解決や県勢浮揚を果たしていくためには、県民誰もが、それぞれの立場や考え方など、違いを乗り越え、力を合わせて頑張っていくことが最も大切なことだと思っています。
しかしながら、今回の知事選挙には、国政与野党の対立が色濃く県民の間に持ち込まれてしまい、そうした対立軸を県民に強いたことに私自身は少なからず責任を感じています。
「在和栄郷」(ざいわえいごう)、和がある里には栄がある、私が地方自治の基本を教わった、故片岡音吉吾川村長の言葉です。
私の生まれ育った旧吾川村の多くの集会所には、今も片岡村長の「在和栄郷」(ざいわえいごう)の書が飾ってあります。どんな選挙であっても、選挙後はノーサイド、選挙後に住民の間に不毛な対立や分断を作らないようにすることも政治の大切な役目、役割だと片岡村長は教えてくれました。
知事には、与党とか野党とかの枠組みや、立場や考え方の違いを乗り越え、豊富な行政経験や人脈を生かしながら、M田知事らしく、和をもって、思いやりのある優しい、ワンチームの県政運営にも期待をしたいと思います。
そこで、知事のキャッチフレーズでもある、共感と前進の県政運営への思いについて知事にお伺いしたいと思います。 本県は今年、推定人口で70万人を割りました。
本県の人口が70万人代を割り込むのは、大正時代の末以来ということで、人口に限って言えば昭和、平成を経て、大正時代末と同じにまで減少してきている状況となっています。
一方東京においては人モノ金全てが集中し、地方とには不動産価値も含め経済的な格差はますます広がっています。戦後、高度経済成長期やバブル崩壊など様々な局面を経ながら、日本社会は政治も含めそうした国づくりを行ってまいりました。
人モノ金を一つの都市に集中をさせ国際的な競争に打ち勝っていくという方向性は理解できなくはないですが、例えば万が一東京に大規模な災害などの有事があった際に、国全体の危機管理体制が機能し維持できるのか危ぶまれますし、地方においては、里山に住む人が減少することによって、これまで守られてきた田畑や山林が荒れ、命を育む水の管理や自然災害へのリスク対応もできなくなってきています。
そうした東京一極集中化の弊害が様々な面で現実となってきている中、国においては近年、公文書のデータ改ざんや破棄など、全体の奉仕者であるはずの官僚の一部の安倍政権、官邸に対するおもねる姿勢、忖度が問題となっています。
また、地方においても、国からの補助金や交付金を巡って、全国の市町村に競争を強いる地方創生などにより、地方自治体や議会からも国や政権に対する忖度やおもねる姿勢が強くなっているように感じます。
昨年12月土佐沖で訓練中の米軍機2機が接触し墜落しました。
県民の生命や財産を守るため、二度とそうした事故のないように事故の原因究明と再発防止を国や米軍に求めることは当然のことだと思いますが、高知県議会からは国などに対して意見を求める決議は示されませんでした。
また、文科大臣の発言が発端となり延期見直しとなった、大学入試テストでの英語の民間試験の導入についても同じ結果となり、田舎に住み、これから受験に挑戦していく子を持つ親の立場からしても、その結果には大変残念な思いをしたものでした。
本県のように交通網も脆弱で、都市部との経済的な格差も大きいなど、様々なハンデがある中で頑張っている子ども達に、少しでも不利益のない受験環境を作っていくことは、私たち大人や政治、行政の責務でもあると思いますが、残念ながら本県議会から国に対して物申す、意見を求めることは叶いませんでした。
そうした状況の中、県政運営を担われることとなった、官僚出身の知事には、政権や国におもねるのではなく、高知県民の立場、県民の生活に軸足を置いた立場で、市町村との連携協調など地方の現場に寄り添ったビルトアップ型の政策提言を行っていただきたいし、国に対しても時には意見し、物申す姿勢を期待したいと思います。
そこで、知事の国に対する向き合い方、基本姿勢についてお伺いしたいと思います。
本県経済の土台を支える根幹でもある農林水産業、第一次産業の振興は県政浮揚のための一丁目一番地であることは言うまでもありません。しかしながら、地域の現場では高齢化による人手不足や担い手不足、後継者不足が深刻な問題となっています。優良農地で経営を続けてきた農家からも、「人手が足りなくて困っている、後継ぎの子どもは県外で働いていて帰ってくる気もなさそう、私の代で廃業せざるをえない」との声や、「先代やその前から代々、田畑を守り農業を続けてきたけれど、年がいてようやらんなりゆう、後継ぎもおらんし、もうやめようかと思いゆう」と言いながら、曲がった腰、老体にムチうって黙々と桑を振り下ろし続けるおじいさんもいました。
そうした状況などから作付けされない荒らした田んぼや畑が、地域の中で毎年どんどん増えているのを実感します。知事は提案説明の中で、農林水産業は本県の強みであり、新たな雇用の創出など「いきいきと仕事ができる高知」の実現により産業振興の実現を図っていくとおっしゃられていました。そこで、人口減少、高齢化などによる担い手不足、働き手不足など、様々な課題をかかえながらも頑張っておられる本県の第一次産業についての現状認識と、今後の取り組みの方向性について、知事にお伺いしたいと思います。
人口減少や過疎高齢化、移動手段や生活用品の確保、医療、福祉体制の維持など本県の中山間地域を取り巻く環境や課題の解決は、県政施策の最重要課題の一つともなっています。知事は提案説明の中で、若者が住み続けられる中山間地域の実現なくして高知県の発展はないとして、県土の約93%を占める本県の中山間地域を中長期的な発展の源として、これまで行ってきた集落活動センターの整備や移動手段の確保対策などの政策を引き継ぎ、「産業を作る取り組み」や「生活を守る取り組み」を柱とする中山間対策のさらなる強化、拡充を図るとされました。
私自身、生まれも育ちも中山間地域、いやまだその先の奥山間地域の者でありますので、中山間地域の衰退という困難な課題に立ち向かおうとする知事の力強い言葉に大きな期待を寄せるとともに、私自身も地域の現状、現場の声をできる限りお伝えさせていただくなど、中山間、奥山間地域の少しでもお役に立てればと思っているものであります。
そこで、知事の中山間地域・奥山間地域についての現状認識と今後の取り組みの方向性についてお伺いしたいと思います。
県民、住民の生活スタイルや地域環境はさまざまに異なり、また、経済力もそれぞれに違います。みずからの力で夢や希望をかなえられる地域や住民もあれば、社会的な環境や経済力などにより生活に困窮している人や地域もあります。
誰もが自力で克服が困難な状況に陥ったときには、誰であっても必要な支援を受けて、誰もが住み慣れた地域で安心して生活できる環境をつくりあげなくてはなりません。
そのための、社会的支援や仕組みが福祉や社会保障であり、そうした支援や仕組みをどこに、どう作り、どう運用していくのか、社会のセーフティネットをどこに、どう張り巡らせていくのか、そうした社会づくりこそが行政や政治の最大の使命、役割でなければならないと思っております。
本県においては、誰もが住み慣れた地域で健康で安心して暮らし続けられる高知県の実現を目指して、日本一の健康長寿県構想を策定し、高知型福祉あったかふれあいセンターの取り組みや高知版地域包括ケアシステム、障害者施策、厳しい環境にある子ども達への支援など、子どもから障害者、高齢者まで、幅広く制度の切れ目のない様々な福祉政策を行ってきております。
そうした本県の福祉施策の取り組みは、全国に10年、15年先駆けて高齢化社会となっている課題先進県の取り組みとして、全国からも注目されています。
そうした中で、知事が目指す県政は、社会的弱者と言われる方々にどう寄り添うのか、誰もがどこでも心豊かに安心して暮らせる高知県を今後どう作っていかれるのか、知事の本県福祉施策についての現状認識と今後の取り組みの方向性と併せ福祉に対する知事の思いをお伺いしたいと思います。
本県においては、これまで「教育等の振興に関する施策の大綱」や「教育振興基本計画」などによるチーム学校の取り組みや、教科のタテ持ち化など様々な施策を通じて、子ども達の学力や体力の向上など、知徳体それぞれの分野で一定の成果をあげてこられました。
しかしながら一方でいじめや不登校、発達障害など厳しい環境にある子ども達が増加傾向にあるなど、教育行政を取り巻く環境や課題はますます複雑化、多様化してきています。
近年、公教育の中にも、国際化の波や厳しい競争、格差が持ち込まれ、子ども達や保護者、学校、教職員、教育委員会などにおいても、そうした様々な変化への対応が求められるようになってまいりました。
そうした中、来年度からは小学校において新学習指導要領もはじまり、今後はさらに、情報化や学力向上対策、学校現場の働き方改革、小中一貫教育の制度化、学校と地域の連携など、教育に関する様々な課題への対応が求められることとなります。
また、平成27年には、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部が改正され、教育長、教育委員の任命や教育大綱の策定、予算編成など様々な面で、知事の教育行政における役割も強化されています。そこで知事の教育行政に対する現状認識と今後の取り組みの方向性についてお伺いしたいと思います。
2.不登校対策について
次に不登校対策についてお伺いしたいと思います。
私は、保育園の時に自分の中にある壁をどうしても乗り越えられず、約2年間不登園となった経験があります。
また、教育委員会の職員時代には、不登校生徒の勉強や遊びの相手をしていたこともあり、今、自分自身が親となりPTA活動などを通じて、多くの学校や親御さんらと関わる中で、不登校対応の複雑さ、難しさを日々実感しています。
よく「不登校に対する処方箋はない」とか、不登校自体が悪いことで治さなければならないと捉える向きもありますが、不登校となる原因は子ども達一人ひとりそれぞれに違い、ひとくくりにできるものではありません。私のように自分自身が壁を乗り越えられず、そこから逃げてしまう子供もいれば、いじめや人間関係から学校に行きたくても行けなくなっている子供もいます。
また、賑やかな学校では勉強に集中できないからと家庭で勉強に集中したい子供もいるでしょう。
生活環境や親の育て方もそれぞれに違います。不登校が増える原因の一つに、そうした多様な考え方やライフスタイルの変化に、学校や教育現場が追い付いてないこともあるのかも知れませんし、もしかしたらこれまで行ってきた画一的な学校の教育スタイルそのものに、多様性や変化が求められるようになってきているのかも知れません。
これまで教育行政での不登校対策の多くがスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置など対処療法的な支援が主となっていましたが、学校に行かない、行けない子ども達が増える中、そうした「対症療法」だけではなく、例えば学校での集団学習を基本としながらも、情報通信を用いた家庭での遠隔教育や地域の公民館、集会施設での学習を認めるなど、学校に行かなくても教育が受けられる柔軟な環境や体制を考えるべき時期にきているのではないかと思います。
そうしたことも踏まえ本県の不登校対策の現状と今後の取り組みについて教育長にお伺いしたいと思います。
3.消費税増税以降の状況について
次に、消費税増税以降の県内中山間地域の零細商店や事業所の状況についてお伺いしたいと思います。
10月から消費税が一部を除いて8%から10%に引き上げられました。
政府は消費税の増税による、買い控えや低所得者への激変緩和対策として、スマートフォンやクレジットカードなど、キャッシュレス決済による還元策を実施、県内でも10月以降様々な商店や店舗などにおいて、キャッシュレス決済の導入が進みました。急速な普及により中にはキャッシュレス決済のできるレジなど、端末の導入やシステム化が還元策に間に合わない店舗も少なくない状況ともなっています。
お財布を持たずに携帯一つで買い物ができるなど、特に若者などスマートフォンを使いこなす利用者にとって大変メリットのあるキャッシュレス決済ですが、一方でスマートフォンを持たない層や使い方がわからない高齢者などには、キャッスレス決済の便利さはもとより、消費税増税に伴う還元策の恩恵が受けられないなどの不利益も生じています。
私は2月県議会において、特に中山間地域の零細商店や高齢者が経営されている商店でのキャッシュレス決済の導入には、レジやシステムの導入など新たな負担が大きく、結果として店をたたんだり経営をあきらめてしまったりする方がでてくるのではないか、また、ポイント還元を求めてお客さんの流れが変わることへの懸念なども申し上げさせていただきました。
消費税増税以降、ある中山間地域の若手店主の方は、「還元策の導入により市部の大型店舗やコンビニエンスストアへの買い物客の流れがより強くなり、明らかに客足が減ったと感じる」と、地域の中小の商店から、大規模な量販店やコンビニエンスストアに客の流れが進んでいる現状を憂慮する声もありました。
消費税の増税やその還元策により、ますます大手と中小零細や都市部と地方の経済格差が広がっているように思われます。
そうした実態をしっかりと調査し、把握した上で、今後の中小零細商店や事業所への対策をとらなければならないと考えますが、10月に消費税が増税されて以降の特に県内の中山間地域の零細商店や事業所の現状と今後の対策について、商工労働部長にお伺いしたいと思います。

4.自治体職員のマンパワー不足対策
次に、自治体職員のマンパワー不足の課題についてお伺いいたします。
昨年の西日本豪雨に続き、今年も東日本を中心に各地で、台風や記録的な豪雨により大規模な災害が発生し、多くの尊い命が奪われ、いまだに行方不明者や元の生活に戻れない方々が沢山おられる状況となっています。あらためて、お亡くなりになられた方々のご冥福と、被害に遭われた皆様の一日も早い復旧復興をお祈りするものでございます。
東日本の各地でおこった豪雨災害後の自治体の現場において「役所の職員が来るのが遅い」、「公務員が全く足りていない」 などの声が多くあったことが報道されていました。
ある自治体では、要配慮者の方が避難所に避難をしたいと申し入れをしたことに対して、その要配慮者に日常業務で常に接して顔や状況を知っていたのが非正規の職員であったことから、現場で対応にあたった正職員が要配慮者の顔を知らなかったため本人確認に時間がかり、避難までに時間を要したことが報道されていました。
そうした事例はその自治体の対応にあたった方々だけの問題なのかも知れませんが、私も元自治体職員として災害の現場や避難所などでの業務をした経験から言えば、そうした現場での人員不足の問題、自治体職員のマンパワー不足による現場の混乱は起こるべくして起こっているとも思えます。
特に小泉改革以降、この15年間「公務員叩きをすれば票になるということで」特に地方の公務員は政争の具の矢面にたたされ、職員数は削減され続け、非正規化も進みました。
そうした中、東日本大震災や近年の豪雨災害など全国各地で大規模災害が発生する中、全国の地方自治体の多くで、災害時や被災後の現場における職員が足りず、自治体の最も大切な役割である、住民の安全を確保することが困難な状況も顕在化してきています。
そこで本県の災害時、発災後における自治体職員のマンパワー確保の取り組みと今後の対策について危機管理部長にお伺いしたいと思います。
近年、災害が続発する中で、土木技術職員の確保が大きな課題となっています。
国土交通省のデータによると、技術系職員のいない市町村の割合は全国で約3割にも上っており、大規模災害後、全国に応援職員の派遣を依頼しても、復旧復興に携れる職員が派遣されず、被災各地で対応に当たれる職員が足りないなどの課題も浮き彫りとなっています。
本県においても、若者の土木離れ、民間企業との競争の激化、低賃金などにより、特に自治体職場における土木技術職員の人材の確保が難しくなっています。
今後、災害の発生だけでなく、高度成長期以降に整備された道路や橋梁、トンネル、上下水道など生活に身近で、なくてはならない社会資本、インフラが建設後50年以上経過し老朽化を迎えることから、社会インフラの新設や補修、修繕など災害や老朽化への対策、対応も急がれており、土木技術職員などの人材の確保は、喫緊の極めて重要な課題となっています。
そこで本県における土木技術職員の現状と対策について土木部長にお伺いしたいと思います。
5.高知自動車道と国道33号について
次に、高知自動車道の2車線対面通行区間の解消と国道整備についてお伺いしたいと思います。
国土交通省はこの秋、現在2車線の対面通行で運用がされている、全国の高速道路、122区間約880キロについて4車線化をしていくという方針を示されました。
そのうち本県関係では、高知自動車道の土佐パーキングエリアから須崎東間の約9キロが選定され、今後、順次工事が始まっていくこととなりました。
国土交通省では、今後そうした有料の対面通行区間を、財源を確保しながら順次4車線へと整備をしていく方針とのことで、今後3年から5年後をめどに対象区間の見直しも検討をしていくとのことであります。
4車線化により、渋滞の解消はもとより交通事故の抑制、災害対策、流通、利便性の向上など様々な面において効果が期待されます。
そこで、県内の高知自動車道のうち、2車線対面通行区間における有料区間の現状と今後の4車線化の見通しについて土木部長にお伺いしたいと思います。
現在、2車線対面通行区間の高知インターチェンジから土佐パーキングエリア間は、水質日本一の仁淀川流域の各市町村と全国をつなげる交通の入口、窓口としても大変重要な区間でもあります。
また、慢性的な渋滞や大雨時に冠水が発生する国道33号と一部並走する区間もあることから、緊急時の救急搬送や朝夕の通勤ラッシュの解消策としても、早期の4車線化が期待されています。
しかしながら、この秋の国土交通省の4車線化の計画には入っておらず、沿線住民や利用者からは落胆の声も聞かれています。
そこで、現在2車線の対面通行区間の無料化を図ることにより、現在費用の面から毎日の通勤には利用できない方などに高知自動車道をご利用いただき、沿線住民の利便性の向上や地域経済の活性化、渋滞解消につなげていくことも検討できないかと考えますが、高知自動車道の2車線対面通行区間の無料化の検討について土木部長にお伺いしたいと思います。
一般国道33号は、高知市から仁淀川町を経ながら四国山地を縦断し愛媛県久万高原町、松山市に至る延長約124kmの路線で、産業、経済及び日常生活を支える重要な幹線道路であるとともに、大規模災害時には、沿線住民の命の道ともなる道路でもあります。
以前は高松市と高知市を結ぶ国道32号と並んで愛媛高知の県庁所在地を結ぶV字ルートとして大変重要な路線でしたが、慢性的な朝夕の通勤ラッシュや雨量による通行規制に伴う通行止めも多く、また、イベント開催や交通事故が起った時などには、大渋滞も発生するなど、二けた国道としては大変ぜい弱で、沿線住民などから早期の改良を望む声が強く出されています。
特に雨量による通行規制区間となっている越知町横倉から仁淀川町、愛媛県境までの区間は、連続雨量が250ミリ以上となると事前通行規制に伴う通行止めが行われ、越知町の一部と仁淀川町が陸の孤島状態となることから、地域の沿線住民にとって国道改良による事前通行規制区間の解消は悲願ともなっています。
そうした中、いよいよ来月には、愛媛県との県境に橘中津トンネルが開通する運びとなり、関係各位に心から感謝を申し上げるものでございます。
橘中津トンネルの開通以降、今後、現在工事が進む、越知道路2工区の完成、さらには、仁淀川町までの区間の一日も早い整備により、事前通行規制区間の解消が期待されています。
そうしたことなどから沿線自治体では、国道33号整備促進期成同盟会高知県協議会を結成し、市町村が共同し力を合わせて国などに対して早期整備の要望を行うなどの活動を行っており、先般私も吾川郡選出の横山県議とともに、国への要望活動に同行させていただき、国土交通省の道路局長や財務省の主計局長をはじめ関係機関とも協議をさせていただくなど地元自治体とも連携しながら、整備促進に取り組んでいるところでございます。
そこで国道33号整備に関して、現在特に各市町村から早期の要望が出されている、高知市旭地区、高知西バイパス、日下橋、川内ケ谷橋、越知道路2工区を含む事前通行規制区間の防災対策について、それぞれの整備の進捗状況と今後の見通しについて土木部長にお伺いしたいと思います。
私は今年2月の定例県議会において、新産業廃棄物最終処分場に関連する質問の中で、施設を佐川町加茂地区に整備する前提として、地域の社会基盤の整備と地域振興策は別に考えるべきであると申し上げました。
というのは、新産業廃棄物最終処分場が整備される予定の仁淀川流域は、先ほども述べましたとおり高速道路の四国8の字ネットワークルートからも外れるなど、その社会基盤、インフラは大変ぜい弱な地域で、そうしたところに、都市部で大量に出される産業廃棄物が持ち込まれる場所が、仁淀川流域に再び整備されることに対して、地域住民の皆さんが複雑な気持ちを持つ、不満を持つのは当然のことであると言えます。
都市部と同等とはいかないまでも、せめて、安心安全な地域生活がおこなえる社会基盤の整備は、暮らしのベースとしても当然のことであり、そうした意味においても、これまで地域から強い要望がありながら整備がなかなか進んでこなかった、加茂地域の国道33号の安全対策や整備、河川の改修については、産廃施設の地域振興策とは切り離して考えるべきであると申し上げたものですが、当時の尾ア前知事からは、地域振興策と併せて河川の増水対策や国道の安全対策を講じ住民の皆様の不安の解消を図っていくと、前向きな答弁をいただいておりました。
そこで、岩目地交差点の改良など、国道33号の安全対策と長竹川の改修事業の進捗状況並びに今後のスケジュールについて土木部長にお伺いしたいと思います。
6.厚生労働省による再編、統合の再検討が必要な病院名の公表について
次に、厚生労働省による再編、統合の再検討が必要とされた病院名の公表についてお伺いいたします。
今年9月、厚生労働省は全国の公立・公的病院のうち、診療実績が乏しく再編、統合について特に議論が必要と分析、判断した全国の424の病院名を公表しました。
本県については、いの町の仁淀病院や佐川町の高北病院など5つの病院がその該当となり、対象となった地域の住民などからは、病院がなくなるのではと不安の声が出されるなど、行政や医療関係者の間にも動揺が広がっています。
人口減少や高齢化が進み、医師不足も深刻化する中で、地域医療の形を早期に検討することは避けられない課題とはいえ、住民の命と健康に密接に関わる地域のセーフティネットとも言える、公立・自治体病院の再編や統合を単に医療費の削減や財政の効率化優先の議論で、国が強権的に進めることは決してあってはなりませんし、地域の実情に合わせた、保健、医療、介護の提供など、幅広く地域全体から見た検討、現場主導の議論を求めるものでありますが、あらためて、病院名の公表における厚生労働省のからの要請内容とその後の県の対応について健康政策部長にお伺いしたいと思います。
過疎化高齢化が進み、公共交通も脆弱な中山間地域における、公立・自治体病院の役割は、地域住民の命と健康を守る大変重要なものであり、医療従事者は患者さん一人ひとりの状況やニーズを把握され、住民に密着した、かかりつけ医としての機能も果たしながら、地域医療の核となって介護も含めた多種多様な診療やケアを行っています。
また、その医療機関が急性期、高度急性期、回復期、慢性期のどの機能や役割を担い受け持つのか、さらには地域の民間病院や介護事業所などとの連携も重要なことであり、これまで各地域における地域医療構想の議論の中では、そうしたことを前提としながら、様々な議論がなされてきていることと思います。
そこで、病院名の公表の対象となった仁淀川流域の地域医療構想調整会議では、これまでどのような議論がなされてきたのか、健康政策部長にお伺いしたいと思います。
また、厚生労働省による病院名の公表以降、地方の多くから、困惑の声や要請を受け、総務省は国と地方との意見交換の場を新たに設けられ、10月末には岡山県において中国、四国地方を対象とした国との意見交換会も開催されたとのことでありますが、その意見交換会ではどのような議論が交わされたのか健康政策部長にお伺いしたいと思います。
また、今回、国が地域の個別事情を踏まえず全国一律の基準による分析のみで、公立・自治体病院の再編・統合を来年9月までに結論を出すことを地方に迫っている現状について、県として今後どのような姿勢、方向性を持って対応していくおつもりか知事にお伺いしたいと思います。
7.スポーツ振興について
続いてスポーツに関する質問をさせていただきたいと思います。
今年の国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」において、本県は、6年ぶりに最下位を脱出し46位となりました。
団体競技においては、ソフトボール少年男子が県勢としては9年ぶり、単独では10年振り11度目の全国制覇を達成したのをはじめ、ゴルフの少年男子とクレー射撃のトラップが準優勝、卓球少年男子と成年男子が3位に輝くなど、4競技7種目で入賞を果たしました。
個人でもレスリング少年男子フリースタイル60キロ級で、高知南高校の清岡幸大郎選手、少年女子高飛び込みで、高知商業高校の山崎佳蓮選手がそれぞれ優勝、陸上少年男子800メートルで小津高校の石元潤樹選手が3位となるなど、陸上をはじめ、レスリング、水泳飛込、馬術、カヌー、空手、クレー射撃、ゴルフで入賞者をだすなど、好成績を収めました。
本県においては、これまで「スポーツ推進計画」に基づき、全国トップレベルの指導者を招聘するなど、質の高いトレーニングにより強化を行う「全高知チーム」の活動や、競技に応じた科学的、合理的な練習方法の提供ができるスポーツ医科学拠点の整備など、全国で戦える選手の育成など競技力の向上を図ってまいりました。
そうしたことが実を結び、今年の茨城国体での最下位脱出にもつながったのではないかとも思います。あらためて、県選手団の健闘に敬意と感謝を申し上げるものでございます。
そこで令和で最初の国民体育大会、いきいき茨城ゆめ国体における本県選手団の活躍の総括と今後の課題について文化生活スポーツ部長にお伺いしたいと思います。
知事選挙のあった11月24日は、高知県にとってもう一つ、歴史的な大一番、戦いが行われていました。
福島県で開催されたサッカー、全国地域チャンピオンズリーグ決勝ラウンドで、本県のサッカークラブチーム、高知ユナイテッドSCが1勝1敗からの最終戦で、京都の強豪チームを3対1で下し、高知県勢としては初めて日本フットボールリーグJFLへの昇格を決めました。
高知ユナイテッドSCは、2016年に当時県内の強豪クラブ、アイゴッソ高知と高知Uトラスターが「高知からJクラブを」の合言葉のもと統合し、「高知の子ども達に夢と目標を」の理念を掲げ戦ってこられました。
今回同チームが昇格するJFLはサッカーのアマチュアリーグの最高峰に位置づけられ、リーグ戦で年間4位以内に入り、観客動員数などの条件を満たせば、更なる高みであるプロのJリーグに昇格できることから、チームの目標であるJリーグ入りに大きく近づく快挙となりました。あらためて、高知ユナイテッドSCの選手、監督をはじめ、サポーター並びに関係者の皆様のこれまでの努力と活躍に敬意と感謝を申し上げます。本当におめでとうございました。
こうした本県のスポーツ界にエールを送る意味で、高知ユナイテッドSCのJFL昇格と、いきいき茨城ゆめ国体における本県選手団の活躍について、知事のご所見をお伺いしたいと思います。
高知ユナイテッドSCの新たな戦いの舞台となるJFLリーグは、北は青森から南は宮崎まで全国の強豪16チームが参加し、ホームとアウェー全30戦のリーグ戦が行われることとなります。リーグ戦の半数は四国外となるため、宿泊費などの遠征費の増加などクラブの運営費の確保が課題となる一方で、高知県で行うホームゲームには、相手チームの選手やスタッフはもちろん、サポーターやファンなどが全国から大勢来高されることとなり、県経済や観光の面において大きな効果を得られるチャンスともなります。
そうしたことからも今後は、県内外の経済界や県スポーツ協会などと連携した官民あげての支援がより必要となってくると思われます。そこで、Jリーグ入りを目指す高知ユナイテッドSCへの今後の支援策について文化生活スポーツ部長にお伺いしたいと思います。
8.全天候型のドーム球場の整備について
最後に、子供達や若者に夢を与える全天候型のドーム球場の整備についてお伺い致します。
本県に足りないもの、それは子ども達に夢や希望をあたえられる機会や場所の少なさです。
知事からの提案説明においても、多くの若者が戻ってこられる、都会へ出て行かなくても誇りを持って定住できる魅力ある県にしたいとの決意が述べられましたが、本県において、特に若者が憧れをもつスポーツや芸能といったジャンルの、例えば、プロ野球などスポーツの最高峰の戦いや、ジャニーズや嵐、サザンオールスターズといった大物アーティストのコンサートなどは、そのほとんどが東京など大都市圏での開催のため、高知県に住むファンはチケット代金の他、旅費やホテル代といった大金をはたいて、大都市まで出向いてそれぞれの憧れのスターを観に行っているのが現状となっています。
私自身もスポーツやコンサートを見るのが好きで、わざわざ東京へ何度か足を運んだものでしたが、都会へのあこがれはそうしたことからも発生し、高知から都会への若者の流出につながっている要因の一つだと思います。
例えば、そうした憧れのスターが公演や試合を行う東京ドームという職場で、イベントスタッフや売り子など裏方で働くことさえも、ファンにとっては、憧れの存在を身近に感じることのできる夢の仕事場ともなります。
そうした夢のある職場を作る意味においても、本県にプロ野球の公式戦が開催できる規模の全天候型ドーム球場があれば、レベルの高いプロの試合はもちろん、大物アーティストの公演も開催が可能となるなど、子供達が本物を見られる機会が増えるとともに、若者に夢のある雇用の場の創出にもつながっていくと考えます。
さらにドーム球場なら全天候型のため災害時には大規模な避難所ともなりえます。
本県は昨年のLCC就航とも併せ、12月からFDAの神戸高知路線が就航されるなど、国内だけでなく世界中から本県への交通アクセスも格段に良くなってきています。
観光産業での付加価値や新たな雇用にもつながり、何よりも高知に若者が残って、高知で誇りを持って生活していくための環境整備の一つの取り組みとして、プロ野球の公式戦が開催できる規模の全天候型のドーム球場の整備は有効ではないかと考えます。
そこで子ども達や若者に夢を与えるドーム球場の整備について、文化生活スポーツ部長にお伺いいたしまして、第1問とさせていただきます。
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